日本ラカン協会
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4(+1)つのディスクール:無意識、この社会的なもの

 「精神分析」とは何をすることか。あるいはそもそも「精神分析」においては、いったい何が起きるべきなのか。1950年代に「言語」をキーワードとして 取り組んだこの問いの延長線上で、ラカンは1960年代、そうした出来事の起きる場としての分析関係と、そのなかでの分析家固有のポジションを改めて定義 しようとします。

 こうした再定義の作業は、1967年のいわゆる「パス」の制度の提案に結実しましたが、それは同時に、再定義された関係ないしポジションを他の社会的な 関係ないしポジションとの関わりで位置づけ直すという、新たな「理論」的課題の領野を開くことになりました。

 1968年5月の出来事―いわゆる「五月革命」―とそれに続く危機的状況において、この課題は喫緊のものとなります。そしてこれに応えるかたちで展開さ れたのが、『セミネールXVII:精神分析の裏面』(1969-1970)における、「ディスクール(言説)」をめぐる議論です。

 先行する議論のなかで、「言語」に「シニフィアン連鎖」(S1, S2)という理論的な規定が与えられるとともに、この連鎖のもとで分裂する主体($)、およびその分裂の関数である対象(a)の問題がすでに浮上していま した。これらの4項がとる異なった配置によって「社会的紐帯(lien social)」の4種―主人、大学、ヒステリー、分析家―を区別しようとする、いわゆる「4つのディスクール」の議論は、ラカン自身がその先に、さらに もう一つのディスクール―資本家(資本主義)のディスクール―の可能性を素描していることによって、一般に精神分析が新たに出来した状況と向き合い、その 社会との関係を問いに付す際の、戦略的地点の一つとなっています(*)。



Lacan in Italia 1953-1978. En Italie
Lacan, Milan, La Salamandra, 1978, p.40.


 2016年の日本ラカン協会では、ラカンのこの「ディスクール」をめぐる議論を中心として、新たな危機の状況を迎えた今日の日本社会における精神分析の 役割について考えてゆきます。

日本ラカン協会
理事長 
    原 和之
理事(五十音順)
    磯村 大
    伊吹 克己
    小林 芳樹
    立木 康介
    平野 信
    福田 大輔
    福田 肇
    松本 卓也
    若森 栄樹

(*)「ディスクール」を論じたラカンの主要な 著述:
・ジャック・ラカン『セミネールXVII:精神分析の裏 面』(1969-1970)/ Jacques Lacan, Le séminaire, Livre XVII, L’envers de la psychanalyse, Paris, Ed. du Seuil, 1991.
・ジャック・ラカン『セミネールXVIII:サンブランで はないようなディスクールについて』(1970-1971)/ Jacques Lacan, Le séminaire, Livre XVIII, D’un discours qui ne serait pas du semblant, Paris, Ed. du Seuil, 2006.
・ジャック・ラカン『セミネールXIX:…ウ・ピール』 (1971-1972)/ Jacques Lacan, Le séminaire, Livre XIX, ... ou pire, Paris, Ed. du Seuil, 2011.
・ジャック・ラカン『セミネールXX:アンコール』 (1972-1973)/ Jacques Lacan, Le séminaire, Livre XX, Encore, Paris, Ed. du Seuil, 1975.
・ジャック・ラカン「ラジオフォニー」(1970)、 『ディスクール』(佐々木孝次・市村卓彦訳、弘文堂、1985年)所収 / Jacques Lacan, Autres écrits, Paris, Ed. du Seuil, 2001, pp. 403-447.
・ジャック・ラカン『テレヴィジオン』(1973)(藤田 博史・片山文保訳、青土社、1992年)/ Jacques Lacan, Télévision, Paris, Ed. du Seuil, 1974.
・ジャック・ラカン「精神分析的ディスクールについて」 (1972)/ Jacques Lacan, « Du discours psychanalytique », in Lacan in Italia 1953-1978. En Italie Lacan, Milan, La Salamandra, 1978, pp. 32-55.